FAQ

よくある質問と回答

よくある質問と回答

FAQ
肥料とは何ですか?

-肥料取締法による肥料の定義-

植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため、土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物。

肥料とは農地の生産力を維持増進するため、人為的に土壌または作物に施される物質です。自然に生えている植物は何も与えられなくても生育しています。これは、もともと土壌に含まれている養分を利用すること、茎葉等が枯れて土に戻され、それが再び自らの養分となることによります。この場合、養分の収奪量は小さく、地力の減退が目立ちません。一方、栽培される作物は集約的に多収穫され、多量の養分を土から収奪します。作物によって持ち出された養分を補給しないと、地力が減退して、作物が正常に生育しなかったり、生産力が著しく低下します。このために補給される物質が肥料です。

腐植とは何ですか?

土の中にはさまざまな有機物が含まれています。大別すると(1)動植物および微生物の遺体と、それに由来する微生物が分解し易い”易分解性の有機物”、(2)土壌特有の”難分解性の有機物”に分けられます。腐植とは(2)のことを指し、(1)の難分解部分が土壌中で微生物等の作用によって、新たに合成した暗色の物質で、微生物による分解にも比較的安定しています。

連作障害はどうして起こるのでしょうか。原因を教えてください。

連作障害とは、同じほ場で同一の作物を作り続けることにより作物の減収を招くもので、連作をしなくても短い年限で輸作する所で見られることがあります。主原因の多くは病原菌が明確な土壌病害や線虫害ですが、中には障害の原因が明らかでないものもあります。例えば土壌塩類濃度が高まり養分バランスを崩すとか、要素欠乏に起因するもの、土壌が堅密化しこれが一層の低収を助長するといった原因も考えられます。ある作物の連作を続けると、その根や残さを好む病原菌が増殖することに加えて、この作物の根のまわり(根圏)を好む微生物ばかりが増えます。その結果、微生物の種類が単純化し病原菌に対する抑止力がなくなり、病害を助長する原因になるといわれています。例えば、インゲン根腐病は、菜豆の連作土壌では微生物のえさの量が減少し、微生物活性が低下することが、発生を助長すると推察されています。逆に、輸作は同一のほ場にいろいろな作物が栽培されるので、微生物のえさの種類が豊富なって微生物相が多様化し、特定の作物を好む病原菌と競合が生じるので、病害の発生が抑制されると考えられています。

有機栽培って何ですか?

日本では有機JAS制度(※)によって、「有機農産物」「オーガニック」と表示する場合は下記の条件を満たしたものであることが義務付けられています。

  • 1. 「化学的に合成された肥料や農薬の使用を避けること」「遺伝子組換え技術を利用しないこと」を基本として、環境への負荷を出来る限り低減した栽培方法で生産された農産物であること。
  • 2. 種まきや植え付け前に、2年以上前から、許容された資材以外を使用していない田畑で栽培すること。
  • 3. 栽培期間中も、許容された資材以外は使用しないこと。
  • 4. 遺伝子組換え技術を使用しないこと。

※JASは「Japanese Agricultural Standard = 日本農林規格(正式名称は「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」)の略称。

有機JASって何ですか?

国の制度に基づいて「有機認証(※)」を受けた生産者・生産者団体(生産行程管理者)だけが、「有機」「オーガニック」と表示(有機JASマークを貼付)することが許されるのです。 ※農林水産省の登録認定機関が厳しい検査を行ない、有機JAS規格に従った農地と栽培方法で作られているのかどうかを確認した後に、生産者・生産者団体に有機の生産行程管理者としての認証が与えられます。そしてこの、有機認証を受けた生産者のみが、「有機JASマーク」を付けることが出来ます。登録認定機関とは、農林水産大臣に登録された第三者機関で、有機JAS制度の基準を満たして生産することができる生産者・加工品メーカーであるかどうかの検査・認定を行う機関です。
有機JAS規格を満たす農産物・加工食品でなければ「有機」等と表示した(=有機JASマークを付した)商品を販売することは出来ません。しかし、この規格は、広告等に「有機栽培」「無農薬」といった表記をすることを制限するものではないため、生産者や業者がホームページやパンフレットで「有機栽培」として販売していても(それが虚偽表示で無い限り)問題とされない状況にあります。

有機栽培で作った作物はなぜおいしいのですか?

有機栽培野菜は、何となく「おいしい」というイメージがあります。 しかしながら、「有機栽培だからおいしい」ということはないのです。 野菜の「おいしさ」は、有機か無機か、という要素よりは、肥料のバランスで決まることが多いのです。植物が光合成して栄養を吸い上げる基本は、無機栄養の形です。 たとえば、窒素はアンモニウム(NH4+)または硝酸(NO3-)の形態でしか吸い上げることができません。有機肥料に含まれるタンパク質は、土壌中でアンモニウム(NH4+)または硝酸(NO3-)に分解されてから根に吸収されます。 無機肥料では、最初からアンモニウム(NH4+)または硝酸(NO3-)として施肥されるので、根に直接吸収されるのです。 ところが、最近、窒素肥料の内、アミノ酸の一部は直接吸収されることが、研究でわかっています。そこで、アミノ酸入りの化学肥料や、直接葉面に散布する液体肥料が販売されています。 アミノ酸は、野菜をおいしくすると言われており、有機栽培の野菜がおいしいというのも、 このアミノ酸が豊富にあるからとも考えられます。

農薬は結局のところ毒なのだから、やはり危険ではないでしょうか?

通常は安全である物質にも毒性はあります。危険が生じるかどうかは、使用量によって決まり、農薬はその量によって安全性を確保しています
農薬は「毒」であるかと議論する前に、毒性とはどういうものであるかを考えてみましょう。通常は安全である食品でも、ある量以上が一度、または長期的に反復して体内に入ると、生理・生体機能に障害を生じます。例えば、食塩を一度に大量に取れば身体に変調をきたします。食塩の急性経口毒性値(ラット、LD50値)は、体重1kg当り3gです。これは、体重50kgの人を考えた場合、150gの塩を服用すると、半分の人が死んでしまうことを意味します。しかし、適量であれば食物の味を良くしたり、食物の保存性を高めることができます。
また、重要なことは化学構造の一部が変わるだけで、化学物質の毒性が大きく変わるということです。これは作用点や解毒酵素との結合のしやすさや反応の受けやすさなどの違いに起因します。現在、国内で登録されている農薬の有効成分(化学物質)は500種類以上ありますが、これらの有効成分の毒性はそれぞれ異なっています。農薬の中には毒性が高く取り扱いに十分な注意が必要なものもありますが、一方、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの区分を問わず食塩よりも毒性が低い農薬もあります。ただし、例え毒性の低い農薬を使う場合でも、安易に扱うことは好ましくありません。製品ラベルの記載事項をよく読み、けっして記載以外の使用はしないでください。

畑などにまいた農薬はそのまま残っているのですか?

畑などにまかれた農薬は、日光に当たったり、土の中にいる微生物などによって分解されていきます。ほとんどの農薬はこのようにして10日前後で半分に減ります。土壌中で量が半分になる期間(半減期)が1年以上のものは、農薬として登録できません。

残留農薬の安全性を確保する仕組みはどうなっているのですか?

各種長期毒性試験で求められた無毒性量(実験動物に何ら影響の出ない農薬の量:NOAEL)を基礎として、人と動物との違いなども考えたうえ、通常 1/100の安全係数をかけて、人が一生涯毎日摂取し続けても安全な農薬の量(一日摂取許容量:ADI)が決められます。
この一日摂取許容量をもとにして、日本人が平均的に食べる一日当りの農産物の種類・量とその農薬の残留実態から、農産物ごとに許容できる農薬の残留量が決められます。

化学合成されたものではなく、天然のものを使えば安全なのではないですか?

天然物の安全性が十分に調査されているわけではないので、天然のものだから安全ということではありません。天然のものだから安全というのは思い込みにすぎません。昔から使われてきているという理由からか、天然物は安全という漠然とした安心感が持たれがちですが、天然物の安全性が必ずしも十分に調べられているわけではありません。一方 、農薬は、毒性試験などの試験研究をもとにして毒性が評価され、また、ごく微量まで分析できる技術が確立され、その毒性とそれを回避する方法がもっともわかっている物質なのです。

物質がどのようなリスクを生むのかは、「毒性の強さ」と「暴露量」、物質の種類・量と摂取の仕方によって決まり、毒性、暴露量のどちらか、あるいは両方が大きい場合に、リスクが大きくなり、100%安全な物質も100%危険な物質も存在しません。毒性学的には、化学合成物質であるか天然物質であるかという二分論は何も意味を持たないのです。